Q1 どのタイプのアンカーでも使用可能ですか?
A 現在500kNタイプと1000kNタイプの2種類をラインナップしており、基本的に流通している主な鋼線タイプのアンカーには対応できます。
ただし、アンカーヘッドにネジが切られておらず、PC鋼より線の再緊張余長が短い(500kNタイプで5cm以下、1,000kNタイプで6cm以下(ジョイントスリーブをクリアランス無く付けようとしても無理な場合))アンカーは、現状では取付けられません。
開発は、VSL工法を対象に実施してきましたが、その他のアンカーも対応可能です。ただし、アンカー頭部の詳細図をもとに、個別検討が必要となります。
許容アンカー力に対しては、500kNタイプと1,000kNタイプが開発済みです。それ以上の許容アンカー力についても個別に取付け方法を検討すれば、取付け可能となる場合があります。実績としては、VSL E5-12への荷重計取付けを実施しています。
Q2 再緊張余長がどのくらいあれば荷重計を取付けられますか?
A アンカーヘッドにネジが切られていないタイプ及びSEEE工法では、ジョイントスリーブの高さ程度の余長が必要です。運用マニュアルでは、ジョイントスリーブと既設のアンカーヘッドの間に10mmのクリアランスを設定しているため、500kNタイプで60mm以上、1,000kNタイプで70mm以上の再緊張余長が必要としています。ただし、そのクリアランスを必要としなければ(クサビタイプの場合、ジョイントスリーブが外せなくなる)、表中の( )書きの値まで可能です。
一方、アンカーヘッドにネジが切られているタイプでは、そのネジを使って緊張治具を組立てるため、再緊張余長の長さは関係ありません。なお、リングナットは外す必要があります。
アンカーヘッドの種類 500kNタイプ 1000kNタイプ それ以上
アンカーヘッドに
ネジが切られていないタイプ
例:VSL
60mm以上
(最低50o)
70o以上
(最低60o)
別途検討
アンカーヘッドに
ネジが切られているタイプ
例:SFL、EHD、KTB
関係なし
※リングナットを外す必要あり
マンションナットタイプ
例:SEEE
ナットの高さ以上
Q3 Aki-Mosの設置費用はいくらですか?
A 概算は以下の通りです。
【注意事項】
1)研究会で作成した標準積算資料により計算しています。
2)地域により労務費が異なるため、リフトオフ試験及び荷重計設置費は多少の変動があります。
3)荷重計及び緊張治具の価格の詳細は、お見積もりにて提示させて頂きますのでご相談下さい。
4)下記の設置費用には仮設費、経費等が含まれていません。
アンカー1本あたりのAki-Mos設置費用
項目 Tsa<400kN 400kN≦Tsa≦1300kN
リフトオフ試験費 180〜200千円 200千円
荷重計設置(作業) 30千円 40千円
荷重計(本体価格) 160〜290千円 200〜310千円
緊張治具(本体価格) 110千円 140千円
合計 480〜630千円 580〜690千円
Q4 Aki-Mosで取り付ける荷重計の寿命はどのくらいですか?
A: 従来の荷重計と同等です。一般的に荷重計の寿命は510年と言われていますが、使用環境により異なります。Aki-Mosの開発では、荷重計の耐用年数12年を目指して開発を行いました。
現場では、誘導雷による故障が懸念されます。ケーブルが長い場合は、耐雷器(アレスター)による対処を推奨します。
Q5 荷重計定着時の荷重計出力の許容差はどの程度ですか?
A: 「既設アンカー緊張力モニタリングシステム運用マニュアル、土木研究資料、平成21年12月」では、差±10%以内を許容値としています。
うまく荷重計と緊張治具がマッチするとほとんど差なく取り付けることができます。
差が発生する要因は、荷重計の取付け状態(緊張治具のなじみ、偏荷重等)によるものです。差が許容値を超える場合には、荷重計のセンタリングを調整するなどして再度取り付けを行って下さい。許容値を超えた状態での施工完了はおやめ下さい。
荷重計の特性として、荷重計の出力は、ジャッキ荷重よりも低めに出ることが多いです。
Q6 納期はどれくらいですか?
A: 各製品とも受注生産となります。およそ、下記の納期を見込んでください。

製品の納期
製品 納期 備考
緊張治具 1〜1.5ヶ月
荷重計 1.5〜3ヶ月 メーカーにより異なる
計測データの取得システム 1.5〜3ヶ月 メーカーにより異なる
Q7 無線通信の計測データ通信システムを必ず取付ける必要はありますか?
A: 必要はありません。荷重計の計測方法は、ユーザー様側にて選定して頂ければ結構です。
Q8 特許はありますか?
A: あります。現在特許申請中(特許権者:独立行政法人土木研究所、日特建設株式会社、ライト工業株式会社、守谷鋼機株式会社の4者)です。
特願2008-177490号「既設アンカーの再緊張方法および荷重測定方法、ならびにヘッド部」
※詳細は、特許庁のHPから検索・ダウンロードすることが出来ます。
Q9 特許料は発生しますか?
A: 特許料ではなく、実施料が発生します。Aki-Mos取付け1基あたり、4,000円の実施料を設定しています。
 出願している特許(特願2008-177490号)に対し、共同出願者4者間での実施契約を締結しており、実施料(≒特許料)を設定しています。実施料の支払いは、Aki-Mosを実施した者に支払い義務が生じます。
Q10 誰でもAki-Mosの取付けを実施することはできますか?
A: 実施することはできます。ただし、単独では実施できず、現時点では実施者(特許権者)が施工体制に入った状態でAki-Mosを実施する必要があります。
現在、特許権者以外(第3者)にも実施権を付与する準備をしておりますので、実施権を希望される方は事務局までご相談下さい。
Q11 アンカーヘッドは、必ず3mm浮かす必要があるのですか?
A: アンカーが過緊張状態となっていたり、自由長が短い場合、あまりアンカーヘッドを浮かすことができません。その場合は、荷重計定着時の戻り変位量を見て、荷重−変位曲線からアンカーヘッドが支圧板に接触していないことが確認できれば3mm以下としても良いです。ただし、荷重計への確実な緊張力伝達を考えると、1.5mm程度は浮かせておいたほうが良いと思います。
一方、アンカーヘッドを浮かす量が3mm以上の場合は、特に問題ありません。ただし、この時に気をつける必要があるのは、荷重計とテンションスリーブのラップ以上にアンカーヘッドを浮かしますと、荷重計のセンタリングがズレてしまいます。荷重計定着の時、荷重計がしっかりとセンタリングされているよう、手で押さえるなどして取付けを行って下さい。
Q12 チェックリフトオフ試験は必ず必要ですか?
A: 開発経緯からチェックリフトオフ試験の実施を運用マニュアルに記載していますが現在、チェックリフトオフ試験の必要性について研究会で再検討し、基本的には不要である方向でマニュアル改定をしようと計画しています。
Q13 名称「Aki-Mos」の由来
A: 本研究会名「既設アンカー緊張力モニタリングシステム」のそれぞれの単語の頭文字からつけられた名称です。

Copyright (C) 2010 既設アンカー緊張力モニタリングシステム研究会